モンスター社員への対応方法について

近年、モンスター社員と呼ばれる存在に頭を悩ませている企業が増えてきています。
問題行動があるため指摘しても正されることがなかったり、それどころか「パワハラだ」と企業側を責めたりする社員のことです。
特に、社員同士での連携が求められる介護業界の職場などでは、このような社員の存在は深刻な問題となります。

問題がある社員の存在を放置するとどうなるか?

企業側は、雇用しているすべての社員に対して、雇用契約上の安全配慮義務および職場環境配慮義務が生じます。
そのため、問題がある社員の存在を放置し、万が一他の社員に何かしらの被害が生じることがあれば、企業側がその責任を問われる可能性が非常に高くなります。
それだけでなく、その問題社員が原因で他の職員に精神的な負担がかかるようなことがあれば、該当職員が会社を辞めてしまう可能性も少なくありません。
だからといって、問題がある社員を解雇すれば良いわけでもありません。
なぜなら、企業側は雇用者に対して、その雇用を継続するための責任を負っているからです。
よって問題行動が目立つからといって解雇するわけにもいかず、困り果ててしまうわけです。

企業全体として毅然とした態度をとり続けることが大切

それではどうすればよいのかというと、モンスター社員に対しては、企業全体として毅然とした態度をとり続けることが大切です。
問題を確認する度に注意指導を行って改善を促し、状況に応じて懲戒処分を行います。
これらを少しずつ積み重ねていくことで、最終的には解雇の選択肢や退職勧告などを行うことが可能となります。

「問題行動を起こす社員」の具体例

続いて、モンスター社員についてもう少し詳しく見ていきます。
「問題行動を起こす社員」と言っても、その具体的内容はさまざまです。
一例を挙げるのであれば、急な欠勤が多いこと・逆パワハラ・協調性のなさなどが挙げられます。
逆パワハラというのは、業務上の必要な範囲の指導を行った上司などに対して、「これはパワハラである」ことを主張したり、「弁護士や労働基準監督署に訴える」などと主張しながら、自身の改善を行わないことなどを指します。
このような職員からの逆パワハラが原因で、指導を行った上司が精神的疲弊を感じたり、最悪の場合は辞職してしまうことすらあり、放置は大きな問題です。
前述したほかにも、離籍や暴言、居眠りなど業務外の行動が問題であったり、他の職員へのハラスメントなどがあったりと、その内容は多岐にわたります。
いずれにしても、これらのような何かしらの問題行動があり、反省や改善が見受けられない場合はモンスター社員と言えるでしょう。

その社員の主張に問題があるのかないのかを適切に判断する

しかしここで注意したいのが、雇用されている側が通常の適切な権利行使を行っているにもかかわらず、企業側が「モンスター社員である」と決めつけてしまい、その主張に耳を傾けないことです。
このようなことを行ってしまうと、企業側が責任を問われることがあります。
もちろん、だからと言って全社員の権利主張にすべて応じるとなると、本当の問題社員の要求や態度を過激にさせてしまうことがあります。
そのため、その社員の主張に問題があるのかないのかを、適切に判断することが大切です。

問題社員の見分け方

そこで、問題社員の見分け方についてですが、彼らには「自らの非を認めない」ことと「他人のせいにする」という2つの共通した特徴があります。
該当社員に注意指導を行ったにもかかわらず、反省せずに自らを正当化させたり、別の人のせいにするようなことがあった場合は注意が必要です。
同様のことを繰り返すようであれば、それは問題社員だと言えるでしょう。
問題社員の言動に悩まされているときでも、大切なことは粘り強く注意指導を行うことです。
このこと自体は、一般的な社員に対しても同じです。
問題となる言動を指摘して反省と改善を促します。

問題社員への注意方法

注意方法としては、口頭で直接伝えたり、メールやチャットを利用する方法もあります。
特にメールであれば、指導した内容や相手からの返信が記録として残るため、後の証拠として役立つ可能性があります。
後から削除や送信取り消しなどが行えるチャットツールの場合は、スクリーンショットなどでやり取りの記録を残しておくと安心です。
また、書面でやり取りする方法もあります。
口頭やメール、チャットなどで注意指導を行ったにもかかわらず、なかなか改善が見られない際などは、その問題行動を改めて書面で指摘する方法が有効です。
その際に、問題行動が就業規則に違反している旨などを付け加えておくと、注意指導の理由が明確です。
このように段階を追いながら注意指導を行い、それにもかかわらず反省や改善が見られない場合は、懲戒処分を検討することができます。
懲戒処分には、戒告から減給、解雇など、軽いものから重いものまでさまざまなものがあります。
まずは軽いものから行い、懲戒処分の前歴を残しておくことで後にさまざまな方法が取りやすくなります。

まとめ

以上が、モンスター社員への基本的な対応の流れです。
なかなかスムーズにいかない場合や悩みが尽きない場合は、弁護士に相談する方法もあります。