薬機法による広告規制

薬品

薬事法が法改正され薬機法に

薬事法と呼ばれていた法律が平成26年11月25日に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に改正され名称変更しました。
従来と比べて長い名称になったため、現在では薬機法と略して呼ばれています。
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名前のとおり、医薬品だけでなく医療機器が規制の重点に置かれるようになったことが大きな改正点です。
また、新しい医療として注目を集めている再生医療等製品も分類に含まれて規制されるようになりました。

このような改正が行われましたが、根幹は変わらず有効性、安全性、品質が確認されていない、つまり承認されていない医薬品等の広告を禁止しています。
つまり販売活動を禁止して、未承認の医薬品等が市場に流通しないように規制しています。

法律の第68条では「承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止」として、承認前に名称や製造方法、効能、効果または性能について広告してはならないとなっています。

薬機法の規制の範囲は、医薬品、医薬部外品、医療機器、化粧品、体外診断用医薬薬、再生医療等製品です。
これらの広告を国内でしたい場合は承認またはそれに類するものを取得する必要があります。

例えばものすごく艶の出るシャンプーを作ったとしても、承認を取得する前にその効果をWebなどに掲載して販売をしてはいけません。

薬機法で規制される広告について

この法律で規制される広告とは、3つの原則に全て該当するものを言います。

  1. 顧客を誘引する意図が明確であること。
  2. 特定医薬品等の商品名が明らかにされていること。
  3. 一般人が認知できる状態であること。

つまり、誰でも見られる状態で顧客の購入意欲を湧かせる内容の商品名の乗った媒体ということになります。

そのため、商品名が記載されていない状態で特定の医療行為を説明するだけであれば広告には該当しません。
ただし、その医療行為がある会社の独占的な製品によるものである場合は、直接名称を記載しなくてもどのようなものか明らかなので原則の2番に該当すると考えられます。

この規制は、輸入品にも適用されます。
そのためアメリカで許可された医薬品がとても良く効くからといって広告することはできません。
日本での承認があるかどうかが広告可能かどうかの判断になります。

海外で流通している医薬品などを個人的に使いたいから輸入する場合は、数に制限があります。

注射によって投与するもの以外の処方せん薬や毒薬、劇薬は1カ月分以内、外用剤は1品目につき24個以内、ミノキシジル含有5%以下の育毛剤については、用法用量からみて2ヵ月分以内、その他の医薬品や医薬部外品は2カ月分以内となっています。

基本的には、旅行中に外国で受けた治療を継続するために設定された特例措置だからです。
それ以外に、海外の医薬品が欲しい場合には、医師の個人使用として輸入します。
この場合の個人使用とは、医師の責任において患者に利用することをいいます。

医薬品などの範囲に含まれないもので効能、効果を広告できない

このように日本で承認されていないものは原則広告することができません。
また、医薬品などの範囲に含まれないもので効能、効果を広告することはできません。

例えば、「新しいお茶で飲むだけでガンが治ります。」と言うような広告はできません。
研究機関でその効果が実証されたとしても、承認を得ない限り広告に該当するものは禁止になります。

研究発表は広告には該当しないので発表することはできます。
その場合は、その発表を聴講する対象が限られていて、顧客を誘引する内容ではないと言う解釈から広告に該当しないと判断されるからです。

研究の内容を使って、一般の人に広めて誘引する場合には広告に該当することになります。
同じ内容でも使い方によって異なると言う点に注意が必要です。

承認を得た後であれば、その範囲内で広告することは可能です。
承認を得たものを広告する場合には「医薬品等適正広告基準」に従って作成する必要があります。

15項目にわたる細かな条件が決められています。
例えば「この医薬品だけがその病気を治せる最高の効果があります」などの表現は不適切とされています。

一部の医薬品や医療機器は一般向け広告が禁止されている

最大級表現と言うもので、承認された効能や効果を逸脱して広告していると解釈されます。
また、一部の医薬品や医療機器は一般向け広告が禁止されているものもあります。

専門の資格を持ったものしか扱えないものを一般の消費者が購入したくなることを防ぐためです。
薬機法に準拠すると、広告したい内容で有効性、安全性、品質を担保した承認を取得する必要があります。

どのような対象の疾病や美容に対して、どのような効果、効能を期待して承認を取得したいかと言うことが大切になります。
そのために必要な資料を準備して、申請し、レビューを受けてから承認を得て、その範囲内で広告を行う。

もし新しい効果や効能を広告したい場合には、追加される効果や効能に対して新たに承認を取得する必要があります。
薬機法は、このようにして患者や消費者の健康を守っています。