臨床検査の役割と種類

⑴臨床検査について

臨床検査は、病気の診断や病気の進行度合いを調べたり、薬の影響を調べたりするのにとても大切なものとなっています。
一般的な病院で問診や聴診だけで診ていても、症状の原因を特定出来ないことがあります。

違う原因で同じような症状をみせることもあり、問診や聴診で得られる情報だけでは少なすぎて分らない時に臨床検査に出すことになります。

またそれだけでなく病気の進行度合いを調べたり、薬がきちんと効いているか悪い影響が出ていないか、なども臨床検査で調べることができます。
臨床検査は、大きく分けて「検体検査」と「生理機能検査」の二つに分けられます。

⑵検体検査

まず「検体検査」とは、患者様から採取した尿、便、血液、体液、細胞、脳脊髄液、喀痰などを詳しく調べることをいいます。
一般的に検体検査の中でも特に非常によく行われているものは、血液検査や尿検査などです。

「検体検査」には、病院内でしか行うことができない事と病院以外でも行える事があります。
検体採取は医療機関でしか行なえませんが、採取した後の検体は医療機関外でも検査が可能です。

ただし、これには採取した後の検体を適切な条件で保存していることが条件です。
病院など多くの医療機関では、「人員が足りないので検体検査まで人員を割くことができない」「場所が狭いので検体検査等を行うことができない」等の理由で医療機関内ですべての検査を行っていないところがあります。

検体検査の一部、場合によってはすべての検体検査を保健科学東日本などの外部検査施設に委託しているのが現状です。
また、一般的に外部委託されたほとんどすべての検体検査は民間の衛生検査所が行なっています。

さらに詳しく言うと、以下のような検査があります。
血液学的検査は、血液を構成している成分には様々あるので調べる項目は多いです。

たとえば赤血球、白血球など血球や血色素から貧血の程度を調べたり、どの程度炎症が起きているのかを白血球の多さで把握したりします。血小板の検査を行うことも重要です。

生化学的検査は、血液中の蛋白質、ビタミン、ホルモン、糖質などを化学的に分析検査して、臓器に異常があるのかどうか調べる検査です。
免疫血清学的検査では、次のような検査を行っています。細菌やウィルスに感染することによって、様々な症状が引き起こされます。

どういった細菌やウィルスが原因なのか、それともほかに原因があるのかなど免疫機能の状態を調べることで原因となる細菌やウイルスを特定します。
微生物学的検査とは、どのような細菌が原因で病気が引き起こされたのかを特定するために、採取した喀痰、血液、膿、尿、便、体液など検体を培養して原因となった細菌などの微生物を見つけ出す検査です。

遺伝子学検査は、病原微生物のDNAを正確かつはやく検出することができます。
培養検査を行うよりもはやく結果がわかることが特徴です。
早期発見、早期治療に大変貢献しています。

病理学的検査、細胞学的検査では、内視鏡などを用いて採取した組織、腹部に針を刺して採取した腎臓や肝臓などの組織の一部や、尿、喀痰などを顕微鏡で観察して悪性細胞などを見つけたり腫瘍性、炎症性等を調べたりしています。

⑶生理機能検査

次に「生理機能検査」とは、医療機器を使って患者様の脳波をはかったり、心電図などを使って検査することです。
詳しく言うと。一般的な生理機能検査は、呼吸機能、循環器、脳、神経系の機能の状態を調べる検査です。

心臓系検査は心筋梗塞や心不全などの診断に用います。
安静時の心電図の記録だけでなく、検査用の階段を上り下りすることで心臓に負荷をかけた状態で調べたり、携帯型の心電図を装着して日常の生活での心臓の働きを24時間調べたりもできます。

心臓系検査を行うことで、問診や聴診だけでは分らなかったことがわかるようになります。
脳波検査では、電極を頭皮につけ脳内を流れている微弱な電流を測り、脳波を記録することで脳神経の働きなどを調べます。
てんかん」の診断には必要不可欠な検査です。

呼吸機能検査では、主に呼吸器の機能測定を行っています。
レントゲンは大変優れていますが、それだけでは万能ではありません。
肺活量などを調べることでレントゲンではわからない肺、気管、気管支の状態がわかります。

超音波検査では、身体に超音波をあてて主に肝臓、胆のう、膵臓、脾臓、腎臓などに異常がないかを調べます。
胆石、ポリープ、のう胞、腫瘍や、いろいろな臓器の状態を調べることができます。

妊婦健診での超音波検査が有名です。
超音波検査は妊婦さんにも安心して受けていただけます。

磁気共鳴画像検査(MRI)は、身体に強い磁場をあてることで、体の内部に異常がないかどうかを調べる検査のことです。
特に急を要するの脳梗塞の診断において重要な検査です。

眼底写真検査では、「網膜血管」を外部から見ることができます。
動脈硬化、高血圧、糖尿病などでは全身の血管に変化が現れるので外部から観察できる「網膜血管」はとても診断に役立ちます。
臨床検査は、病気の診断や病気の進行度合いを調べたり薬の影響を調べたりするのに欠かせないものとなっています。